意外と契約にルーズな起業界隈。口約束はありえないと考えよう。
よく、耳にする失敗談として、契約の話があげられます。
「いい感じの兄貴」がお金を出資してくれることになり、お金を投資してもらったという話。
何かよくわからない足長おじさんのような人が現れ、お金を振り込んでくれる。
これって、夢のような話に思えて、案外多いのです。
僕が耳にしただけで、もはや5回くらいはあります。
ということは、実際、日常的にこういった事例が行われているのでしょう。
ただ、その時に「契約書は結んだの?」と聞くと、結んでないというのです。
これはまずい、と思い、契約を取りまとめることにしました。
結果的に、その時は事なきを得たのですが、これは危険です。
何も契約をまとめて無いということは、後で何を言われてもどうにもできません。
出資と借金は全く別物。
実際、すでにトラブルになった後、というケースもあります。
その方は、ある人に「出資」と言われて数百万円もらったら、実は借金だったというケースです。
出資されることと借金することは明確に異なります。
基本的に出資は単純に「お金を出す役」と「実行する役」が別れるだけで、返すも何もありません。
出資を受ける場合というのは、株式のやりとりはありますが、基本的にお金を返すことはありません。
投資家も、自らの挑戦としてリスクを負って挑戦することになります。
これを、ただの口約束でお金をもらってしまったら、どうなるでしょう。
もはや借金なのか何なのかも、もはやわかりません。
相手が返してと言った瞬間に、トラブルまっしぐらです。
本当に相手が出資と言ったのかどうかも、あやふやにされてしまうでしょう。
その方は、結果的に自己破産してしまったようですが、本来、しなくて良かったかもしれません。
最初の段階で契約を結び、出資なのか借金なのか判断できていれば、免れたトラブルでした。
こんな事例を話すと「起業家が愚かだっただけだ」と思う方が大半でしょう。
ところが、案外、こういったトラブルが多いのです。
きちんと契約書を確認し作れば、避けられたかもしれません。
契約が不明瞭でトラブルが起こることも。
アメリカで仕事をした時、こんな経験をしました。
ウェブサイトの開発で携わったのですが、当時の僕は、口約束で開発をスタートさせました。
日本だと、個人の間であれば、案外口約束で開発を初めてしまうことが多々あります。
もちろん見積もりを出して、最初にここの範囲はやります、というように認識を合わせた「つもり」でした。
ところがです。
いざ開発が始まってみると、延々と終わらないのです。
契約上、不明確だった部分を次々と指摘され、これもやってもらうとタスクを追加するわけですね。
できない部分とできる部分を明確にしないと、一生終わらないことになってしまいます。
その時は、なんとか話をつけて途中でどこまでと決めることが出来ました。
しかし、もし相手が欲の深い人だったら、どこまでやらされていたか分かりません。
他にも、投資家とのトラブルで、いよいよ売却となった時に契約の不明瞭な部分をつかれるケースもあります。
最初の書類で全て決められていなかった点を細かくつき、裁判が1年も続くトラブルもありました。
こうした契約の不備やトラブルは、確かに事業を行っていると、どうしても遭遇します。
しかし、そういったトラブルをなるべく少なくすることは、努力次第で可能だったはずなのです。
口約束はもっての他。
このように、契約上の不備でトラブルになるケースはいくらでもあります。
ましてや口約束などもってのほかです。
後でどのようなトラブルになったとしても、口約束で始めた方が悪いとしか言えません。
どれだけ相手が信頼感をおける人だったとしてもです。
その契約が元になって開始が長引くよりも、後からトラブルになるよりはマシです。
絶対に口約束を元に、仕事や事業を進めてはいけません。
ところが、案外こうした口約束系トラブルが、後をたたないのが現状です。
特に、日本は商習慣的に「人情」等で契約が行われるケースが多くあります。
人情も、いざとなったらただの愚かな行為になりさがってしまいます。
事業を初めて間も無い人は、特にこういったトラブルに巻き込まれがちです。
経験が無いからこそ、注意を払って進めていかなければなりません。
もし、口約束で何か進めようとしている方がいたら、一旦足を止めましょう。
詳しい人に相談するか、なるべく知識を調べた上で先に進みましょう。
迂闊に前に進んでしまったら、大変なことになるかもしれません。
トラブルになっても、愚かだったと言われるだけで、助けもあまり期待できません。
しっかりと口約束ではなく、契約を交わしましょう。