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【第5回】真似できる! シリコンバレーで学んだ事業の作り方。

第4回の投稿はこちらからご覧頂けます。

連載、最後の回となりました。
今回は、いよいよテストのフェーズに入って来ます。

プロトタイプまで終わると、時間的には17時になっていました。
と言っても、まだスタートしてから1時間かそこらです。
アンソニーは一度、場を中断すると、夜まで待つように良いました。
今晩、何人かがプロトタイプを持ち寄って、見せ合う場があるそうです。

先ほど行ったプロトタイプのフィードバックは、あくまでも身内のものです。
今度は、全く関係ない第三者からの意見をもらいます。
身内だけだと、先入観が入ってしまい、素の意見が聞けません。
根本的に事業の可能性を確認するには、第三者からの意見が一番です。

18時を過ぎたころ、何人かの参加者が集まって来ました。
年齢も職業もバラバラな人たちです。
集まったのは、私を含めて大体15人ほどでしょうか。
ちなみに、テストの段階を終えたら、パーティーをするそうです。

私たちは、2人1組のペアになりました。
片方4分だけ時間が与えられます。
4分の中で、プロダクトの説明とフィードバックを実施します。
一通り完了したら、役割を交替し、説明とフィードバックを繰り返します。

どちらも説明とフィードバックが完了したら、プロダクト改良へ進みます。
時間は5分、再度、プロトタイプを作ります。

改良が完了したら、別の人とペアになり、同じことを行います。
以上の流れを、3回繰り返します。

ここで、フィードバックマップというツールが登場しました。
集めたフィードバックを、まとめていくためのツールです。
良かった点、改善点、疑問点、アイディアに分けて意見をまとめます。
ホワイトボードなどにマップを書いて、ポストイットで意見を貼ると良いでしょう。
分かりやすくフィードバックを整理できるので、非常にオススメです。

テストもそうですが、全体として細かな実践と改善の積み重ねです。
いかにフィードバックを適切に捉え、スピーディーに反映させられるかが大切です。
その上で、フィードバックマップは非常に役立つでしょう。

第1回目のフィードバックと改善

最初のフィードバックの相手は、大学生でした。
年下ですが、いかにも頭が切れそうな学生です。
聞くと、スタンフォード大学の生徒でした。
どれだけ強烈なフィードバックが来るのかと戦々恐々とします。

ただ、ネームバリューに引けを取る必要はありません。
彼も、ユーザーの一人として素直に感想を伝えるのです。
様々なバックグラウンドにおいて、意見を集めるに越したことはありません。
プロダクトについて説明した結果、以下のような解答が返ってきました。

  • 危険な犯罪に巻き込まれそうで女性は特に怖いかも。
  • ユーザーがどんな人物なのか知りたい。
  • 集まる場所が、他のバーということもあるかも。
  • 店側も連動してクーポンとかつけても良さそう。
  • 実質、どれくらい言語習得出来たのか知りたい。

これらのフィードバックを受けて、いくつか機能を追加しました。
相手がどんな人物か見るプロフィールと評価機能です。
また、必ず他のSNS連動とし、素性が分かるようにします。
通報ボタンをつけ、何かマズイ人はすぐにアカウント削除要請ができます。
ユーザー別の言語習得評価を入力出来るようにしました。
第1回目の改善で、よりプロダクトが深まったのは間違いありません。

第2回目のフィードバック

お互いにフィードバックが完了後、改めてプロトタイプを作ります。
そして、改良バージョンを、また次のペアに説明します。
二回目は、第一回目の反応を加えているので、質自体も上がるでしょう。
回数を重ねるごとに、より完成形へと近づいていきます。

二回目のフィードバックでは、なかなか良い反応が返ってきました。
ただ、一回目とは違って、少し踏み込んだフィードバックも返ってきます。
企画の内容というよりも、よりUIに踏み込んだ内容もあります。

  • 直感的に使い方が分からなかった。
  • パーティー開催の時、もっとシンプルに発信したい。
  • 酔っていることもあるから、すぐ募集出来ることが重要。
  • 開催場所が異なる場合、提案してくれると良い。
  • 何かトラブルに巻き込まれた時、緊急対応出来るサポートが欲しい。

いくつか機能の提案がありました。
こうした場合、提案された機能を全部追加してはいけません。
何を先に厳選して追加すべきか、取捨選択が必要になります。
追加すべき機能の選び方はシンプルです。

基本的に、ユーザーは多くの機能を求めてはいません。
究極に突き詰められた1つの機能を欲していることが大半です。
UBERであれば、迅速な配車を。
Airbnbであれば、素晴らしい宿泊体験を。
LINEであれば、メッセージ機能を。
それぞれ、1つの機能を突き詰め、掘り下げています。

例えば今回は、すぐに国際交流パーティーがその場で開催できるサービスです。
「開催場所の提案」や「緊急対応サポート」は、上記の機能を掘り下げるわけではありません。
どちらかと言うと、広げると行った方が的確です。

他の3つはどうでしょう。

「直感的に使い方が分かる」「シンプル」で「酔っていても」使える。
上記の改善は、スムーズに提起した問題を解決することに繋がります。
優先順位としては、本来の機能を突き詰める方法を考えるべきです。

どんな場合でも、開発コストは存在します。
時間であれ、お金であれ、作業をすればコストを支払わなければなりません。
全て1つ1つ突き詰めてしまったら、コストは膨大に膨れ上がります。
なるべく少ないコストで、最良を見つけ出すために、優先順位の指定は必須です。
今回は、UIにまつわる3つのみ選択し、プロトタイプを改善しました。

第3回目のフィードバック

どんどんプロダクトが突き詰められると、良い意見をもらうようになります。
今回は概ね、意見としては好評なものが集まりました。
欠点というよりも、良いポイントを挙げる発言が増えていきます。
さらに、こんな風に出来たら面白いという意見も増えます。

  • 後でお互いに連絡できると良い。
  • 参加者の連絡先を交換できる機能が欲しい。
  • 互いにコミュニケーションが取れる仕組みが欲しい。
  • 主催者にボーナスがあると、よりやる気が促進する。
  • 言語レベルなども一緒に通知できると良い。

意見の内容は、これまでと違い、さらに先を目指すものが多くなります。
1つのアイディアが突き詰められ、徐々に質を上げていることは明確です。

この段階になると、本当に必要なのか?という機能も出て来るでしょう。
ユーザーの話す内容が全て、良い方向にプロダクトを導くわけではありません。
独自の哲学や、方法論を貫けるか。
本質的にユーザーに好まれるか、考える必要があります。
何を取り入れ、何を取り入れるべきではないか。
より高度な思考の元に成り立つ取捨選択が必要になります。

もし失敗したら、潔くやり直す。

こうして、全ての工程が完了しました。
アンソニーは私たちを集め、最後のスピーチを始めます。
彼が語ったのは「失敗について」でした。

今まで作ってきた一連の過程は、可能性の1つでしか無いということです。
ここまで作っても、上手く行かないこともあるでしょう。
実際にプロダクトを作って出してみたら、案外反応が悪い時もあるかもしれません。
上手くユーザーが集まらない時も、あるでしょう。
そんな時は、潔く全てをやり直すことが大切なのです。

だからこそ、最初に作るプロダクトは、素早く迅速に簡易的に作る必要があります。
完成させるためではなく、テストするために作る意識が必要です。
そして、ある程度目処が立ってから、徐々にクオリティを高めるべきです。
最初から完璧、完全な姿である必要は、どこにもありません。
小さな失敗を繰り返しながら、プロダクトは作られていくのです。

こうした言葉を最後に、場は一度解散となり、パーティーが始まりました。
同じ意識を持つ仲間同士、飲んだり食べたり、楽しい時間を過ごしました。
新しい事業を作り出す意識が、水面下で多様な人々を繋いでいます。
次の刺激的なチャレンジについて、会話が飛び交っていました。

事業の作り方は、今回お話した内容だけではありません。
様々な方法がありますし、個人にあっているかどうかも重要でしょう。

最終的に、自分には、どんな方法があっているか試してみてください。
何をどう実現させることが、自分自身にとってスムーズなのか。
自分の在り方含め、最適な方法を見つけ出していきましょう。
練習と実践を重ね、自分の事業作りを見つけ出していきましょう。

大事なのは自分の頭で考えることです。
考えて様々な方法を取り入れ、自分の戦い方を見つけてみてください。
そのための1つの道として、今回の方法は、大いに役にたつはずです。

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