【第4回】真似できる! シリコンバレーで学んだ事業の作り方。
第3回の投稿はこちらからご覧頂けます。
前回までの内容で、皆さんもアイディアを生み出せたでしょうか?
ぜひ、一緒に自分でも、挑戦してみてくださいね。
アイディアが固まってきたら、いよいよプロトタイプを作ります。
ただし、ソースコードを書いたり、特別な技術が必要なわけではありません。
プロトタイプの目的は、基本的に仮説の検証です。
いかに安く、早く、仮説を検証できるかが勝負です。
自分が考えた解決策が、問題をしっかり解決できているか。
プロダクトの有効性を試すのが目的であると、認識してください。
アンソニーは、いくつかの道具を持ってきました。
どれも、何の変哲もない、どこにでもあるものです。
- ノート
- はさみ
- ポストイット
- アルミホイル
- 輪ゴム
- 粘土
- カッター
- 工作板
- ガムテープ
- クリップ
- 物差し
- マーカー
- ダンボール
文房具店で全て揃えられるような道具です。
これらを使って、最速で仮説を検証できるものを作ります。
最初は、戸惑うかもしれません。
私も、どう手をつけたものかと戸惑いました。
しかし、創造までの過程である程度プロダクトのイメージは出来ているはずです。
どんなプロトタイプを作れば、仮説が検証できるでしょうか?
なお、制限時間は10分です。
長い時間をかけてもいられません。
即座に手を動かし、作り始めることが大切です。
実際に作ってみる。
私が考えたのは、国際交流パーティーをリアルタイムで主催するアプリでした。
その場に集まった人に向けて「今からパーティーしませんか?」と声をかけられるツール。
語学の習得や異文化交流を、バーやイベントなどで促進できるものです。
こうした場合、どのようなプロトタイプを作ればよいのでしょう?
私の作ったプロトタイプは、こんな形です。
非常にシンプルですね。笑
ダンボールにポストイットでUIを再現したものです。
セクションごとに、色分けして分かりやすくしてあります。
しかし、侮ってはいけません。
実際に数人分、同じものを作り実験してみると、議論が沸き起こるのです。
架空で頭の中に思い描いているよりも、ずっと生々しく実感できます。
もし余裕があれば、別の画面も作ってみても良いでしょう。
実験する最中は、ファシリテーターと呼ばれる人を起きます。
ボタンを押したと同時に、発生する現象を手動でオペレーションします。
例えば、下のJOIN NOW!のボタンを押したと同時に、何が起こるか説明します。
今回の場合であれば、ボタンを押したと同時に、参加人数をカウント。
時間になったら集合地点に向かうように指示したりです。
オリエンテーションやワークショップ的な雰囲気とも言えます。
こうして、実際の機能とその楽しさを、検証していくのです。
机上で企画書を書くよりも、よほどリアルに現象を体験できます。
プロトタイプの形は、非常に様々です。
最近、カフェでプロトタイプの実践をしてもらった機会がありました。
中には紙にレイアウトを書いて、写真で撮影した人もいます。
私はポストイットとダンボールでしたが、撮影するのはもっと楽ですね。笑
しかも、スマートフォンの実機で確認できるわけですし。
また、AdobeからXDというツールも出ています。
XDはこうしてプロトタイプを最速で作るためのツールです。
ただWEBサイトのレイアウトを決めるだけのツールではありません。
より実機でリアルにプロトタイプを体感できるよう、開発されたものです。
興味がある方は、ぜひ使いこなしてみてください。
フィードバックをもらおう。
さて、プロトタイプの作成も完了しました。
後は実際に試してみた結果、どうだったかを議論します。
制限時間は4分です。
様々な意見が出てきますが、下記の項目を重点的にメモしてください。
- うまくいったポイント
- 改善できるポイント
- 質問
- さらに生まれたアイディア
この4項目があると、より次の改善に活かしやすくなります。
たくさんの意見やフィードバックの中、注意すべきことがあります。
意見を選別する意識です。
すべての反応が、より皆に受け入れられるとは限りません。
中には、自分の信念を捻じ曲げてしまうこともあるでしょう。
取り入れることで、悪くなってしまう意見もあります。
リソース的に、優先すべきではないこともあるはずです。
大切なのは、何を受け入れ、何を省くかです。
これが中々難しく、最初は全て取り入れようとするかもしれません。
そんな時は、一度立ち止まって考えてみてください。
- 全てがシンプルに提供されている?
- 分かりやすく表現されているか?
- 魅力的に表現されてる?
上記の3原則はクオンカレッジβテストでお話していていたことです。
最近、偶然にもシリコンバレーで同じようなルールを見つけました。
- 短い? ( Short )
- 具体的?( specific )
- 魅力的?( sexy )
3つのSと呼ばれているこの原則は遠からずです。
自分のプロダクトが、他の意見によって侵害されることは避けてください。
ただし、反論するのではなく、可能性として全てを残しておいてください。
後から必要なヒントとなるかもしれません。
何が必要で何が必要ではないか、優先順位をつけるだけです。
反映しないこともあるかもしれませんが、残しておいてください。
実際の現場ではどうか?
今回は、あくまでもワークショップ的にお話しています。
だからこそ、それぞれの段階が1回ずつしか、繰り返されません。
しかし、実際は何度も繰り返されていきます。
プロトタイプも何個も作ります。
ダメだったら、また別に保管してあったアイディアを試していきます。
素早くアイディアをプロトタイプに落とし込んだ後、それでもダメだった場合。
また問題提起に戻り、別角度の問題からアイディアを出し直したりします。
大切なのは、こうした試行錯誤を、いかに素早く繰り返すかです。
そして、どれが一番、皆にとって素晴らしい解決策なのかを見つけ出します。
だからこそ、制限時間があることは大切です。
今までの過程は全て、1時間30分程度で行われた過程です。
もし、ダラダラと話続けていたら、問題提起で1日過ぎてしまうかもしれません。
今回の流れであれば、たった1時間30分で検証まで進めるのです。
1日あれば、5 〜 10パターン程度は、プロトタイプを作り出せるでしょう。
しかも、複数人で行えば、なお効率は上がります。
ただし、共感のフェーズだけは、ある程度時間をかけるべきでしょう。
全ての根本となる共感が成されなければ、以降の全てが崩れてしまいます。
問題に対して共感出来ないのであれば、どんな考えも無意味です。
現実味が無く、確信も持てないまま、ただ時間を無駄にするだけでしょう。
どうしても共感出来ない問題は、扱わない方が良いかもしれません。
そこは、自分で納得できるまで取り組んだ方が良いでしょう。
さて、これでプロトタイプの段階は終わりました。
いよいよ次は、連載5回目、最後の「テスト」になります。
リリースまでの過程も合わせて説明させて頂くので、目を通してみてください。
第5回はこちらからお読みいただけます。