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【第2回】真似できる! シリコンバレーで学んだ事業の作り方。

第一回はこちらからお読み下さい。

前回お話した「共感」は、事業を作る上で最も大切なことです。
ユーザーの気持ちにが理解できてこそ、はじめて問題が生々しく見えてきます。
もし、相手の気持ちが分からない時は、何度でもインタビューしてください。
ユーザーに共感出来るまで、徹底的に話を聞き出すことです。

サンフランシスコで事業作りを教えてくれた彼は、アンソニーと言います。
元々ロサンゼルスで生まれ、サンフランシスコに引っ越してきました。
もちろん、大勢の起業家に憧れてのことでした。

5年前に引っ越してきた彼は、自分でも事業をしていました。
廃棄される食料品問題を解決するサービスだそうです。
プログラミングも自分で出来るので、サービスの開発も自分で行っています。
ここでは、エンジニアリングと起業のスキルを併せ持つ人は、少なくありません。

事業作りにおける次の段階は問題提起です。
これまで引き出し、共感した情報から、問題を探りあてていきます。

気がついた問題を「動詞で」書き出す。

アンソニーは、この行為を「問題のリフレーミング」と呼んでいました。
事業が失敗する大きな原因は「そもそも問題が無い」ということです。
自分一人で「問題だ!」と思っても、実はそれほど大きな問題ではなかったり。
実際、存在しない問題を追い求め失敗するケースは後をたちません。
だからこそ、確実に問題が存在していると、確かめる必要があるのです。

では、どうすれば問題の有無を確かめられるのでしょうか。

まず最初にすべきことは「動詞で」問題をリストアップすることです。
先ほど、撮りためた動画やメモを見ながら、書き出していきます。
動詞で、というところが引っかかるかもしれません。
国語が苦手な方は、特にイメージが付きづらいかもですね。

主に、相手がテーマにおいて、求めていたものは何でしょう?
今回であれば旅ですね。
旅において、アンソニーは何を求めていたのでしょうか。
また、旅が彼に与えた影響はなんでしょうか。
アンソニーの感情から、どんな問題意識を読み取れるでしょうか。
彼は何を旅で嫌がったり、好んだりしていたのでしょうか。
具体的に、どんなことを書き出したか、ご紹介します。

  • 彼は、非日常を感じるために旅先で現地の人に触れ合った。
  • 日常にストレスを感じて度に出た。
  • ホームパーティーに参加したかったが、参加するまでが退屈だった。
  • 予定があったとしても楽しいことが他にあれば、臨機応変に変更する。
  • 旅先で友人ができても、継続的に連絡が取れないため、疎遠になる。
  • 価値観を広げるために旅をする。
  • 自由にフラフラするが危険への配慮は忘れていない。

実際は、15項目ほど書き出しました。
時間制限が決められていて「3分」の間に気がついたことを書き出します。
すぐに終わりがある、ということは素晴らしいことです。
人間は、時間制限があったほうが、より力を引き出せますからね。

一通り書き出したら、今度はリストアップした中から1つだけ、問題を抜き出します。
最も奇抜で、想像していなかったような事柄を、選択しましょう。

今度は、抜き出した内容を短い文章として落とし込むと良いでしょう。
問題の落とし込みもまた、先ほど同様「3分」で行います。
今回、私が抜き出したのは下記の内容でした。

「彼は、ある程度、現地ならではの出来事を求めていた。
でも、参加するまでが退屈だった。」

インタビューをしてみると、彼は現地での出会いを求めていました。
しかし、体験するまでの過程が、退屈だと感じているのです。
もし、現地ならではの体験がすぐ出来たら、より旅を楽しめるかもしれません。
ただ無駄に体験や出会いを探し求める時間が、削減できるはずです。

問題提起において大切な2つのこと。

ここで彼は2つのアドバイスをくれました。

1つめは、問題を考える時に、同時に解決策を考えないこと。

人は何か問題を考える時、一緒にどうやって解決すべきか考えがちです。
しかし、問題と解決策を同時に考えていては、効率が悪いのです。

例えば、何か物事を効率よく終わらせようとした時、人はどうしますか?
多くの人は「類似の作業をまとめて終わらせる」でしょう。
一緒に旅行した友人に、写真を共有するとします。
写真を選んだ順に1枚ずつ送る人は、あまりいません。
大抵の場合、全て選んでから一気に送ります。
写真を選ぶ、という作業と送るという作業を別々にまとめて行うのです。

お皿を洗う時もそうです。
一枚一枚洗って水で流すよりも、全部洗ってから一気に流せば効率が良いのです。
もっとも、キッチンがそれなりに広ければ、という話しかもしれませんが。

このように、何か作業を終わらせる時は、何か一定の動作をまとめて行います。
問題提起と、問題に対する解決策を一気に考えると非効率です。
一度、問題を全て出し終えてから1つを選び、解決策を考えた方が集中できます。
いつものように意識する効率化を、アイディア発想にも活かせば良いのです。

そして、もう1つが、可能性を消さないこと。

今回選んだ問題は、たしかに印象に残るかもしれません。
しかし、だからと言って、他の問題に可能性が無いわけではないのです。
大切なのは、いかに早く実験し、試し、フィードバックを得るか。
問題に可能性無しのレッテルを貼るのは、試してからです。
全ての問題を、1つ1つ試せば、どこかのタイミングで大きな解決になるかもしれません。
乱暴に言ってしまえば、いかに早く数撃ちゃあたるを繰り返すかです。
ありとあらゆる可能性を受け入れていきましょう。

こうして、今回取り組むべき問題が明確になりました。

色々フレームワークはあるけれど、大切なのは気持ちと実行。

問題提起のフェーズにおいて、他にも役立つツールはたくさんあります。
今回、実施している内容は、もっともシンプルな内容なのです。
例えば「共感マップ」や「カスタマージャーニーマップ」等を使う手もあります。
情報を整理することで、より問題が見えやすくなるかもしれません。

しかし、こうしたフレームワークに頼ると、忘れがちなことがあります。
人間としての気持ちや感覚に寄り添うことです。
フレームワークの活用は定量的な分析に思考が寄りがちになります。
一見、具体的に問題が見えて来たように見えるけど、どこか疑問が残る。
問題は見えやすくなったけど、気持ち的に大した問題とは思えない。
そんな時は、素直に感覚に従った方が上手く行くケースが多々あります。

いかに素晴らしいプロダクトも、誰かが直感的に使いたいと思わなければ、売れません。
色々分析してこんな結果が出たから売れるだろう、だけでは売れないのです。
本質的には「使いたいと思ったかそうでないか」という単純な心理に左右されます。

あくまでもフレームワークは感情や気持ちの判断をサポートするものとしましょう。
完全に頼って、答えを与えてくれるツールというわけではありません。
しかし、最初はフレームワーク的な思考に頼りがちになるものです。
もちろん、感情を踏まえた上で、上手に使っていけるなら良いですけどね。
最終的な結論は、気持ちや感覚、実際のフィードバックで判断しましょう。

こうして、問題提起の段階は完了します。

次はいよいよ、アイディアの創造です。
見つけた問題を解決するソリューションは何になるでしょうか?
みなさんも、一緒に考えてみてくださいね。

第3回はこちらからお読み下さい。

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