小さく事業を始めるって何するの? プロトタイプの考え方
事業を作り始める時、まずは小さく始めるべきという話は何度かお話させて頂きました。
でも、小さくってどうするの?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで重要になってくるのが、プロトタイプです。
事業の可能性を掘り下げ、ブラッシュアップするために、プロトタイプは非常に有用です。
プロトタイプと聞いて、みなさん、何を思い浮かべるでしょうか?
本物の製品に近いものを思い浮かべるかもしれません。
完成形に近い商品で、そこそこ使えるような形まで作ってあったり。
確かに、製品に近いプロトタイプもあります。
一般的にイメージできるプロトタイプは、実際の製品に近いものでしょう。
しかし、プロトタイプを作る目的を考えると、少し見え方が変わってきます。
そもそもプロトタイプとは何のために作るのでしょう。
例えば、自分自身が事業で解決したい問題や仮説があったとします。
こうした仮説や問題が正しいと、一体どうやって確認すればよいのでしょうか。
プロトタイプで理解すべきは、こうした仮説を検証すべき時に使うものだということです。
例えば、自分自身が設計したUIがあったとします。
こうすれば、最も使いやすいだろうと考え、画面を設計したとします。
しかし、実際に思い描いた通りに、ユーザーが使ってくれるかは、また別です。
自分が信じて作り上げたものが正しいか、検証しなければなりません。
そこで、一旦形にしてみようと考え、プロトタイプを作り始めます。
ここで注意すべきは決してプロダクトを作り始めるのではない、ということです。
プロトタイプの目的は「仮説が検証できれば良い」のであって製品を作ることではありません。
自分が意図した通り顧客が使ってくれるか、そうでないなら何が問題かを検証できれば良いのです。
例え、本物そっくりのプロダクトがなくても、検証はできます。
では、どんなプロトタイプを作れば良いでしょうか。
パソコンを開いてコードを打ったり、技術者にお願いする間でもありません。
まず、紙とペンとハサミを用意します。
画面設計を紙に描き、切り取り、第三者に渡します。
あとは上手くファシリテートしさえすれば良いのです。
テストを始める前に、今回のプロダクトのコンセプトを伝えます。
そして、実際に触って、試してもらいます。
紙の設計で、何をどう押すか、どこで迷うか、観察すれば良いのです。
後に、ヒアリング、インタビューで意見を聞いて、問題点を洗い出します。
意図した通りに動作した点もまとめて、改めてブレストします。
試してもらったユーザーも交えて、ブレストすると良いでしょう。
新しい議論や意見も生まれ、だいたいの仮説は検証できるはずです。
プロトタイプと聞くと、すぐに技術やコードを書くことを思い浮かべます。
しかし、実際は仮説の検証ができればさえ良いのです。
何も、本物のプロダクトを作りはじめる必要はありません。
もちろん、本物に近ければ近いほど、有益なデータはとれるでしょう。
プロトタイプも色々なので、もちろん本物に近いプロトタイプもあります。
ただ、どちらも共通しているのが、完全な製品を作ることが目的では無い、ということです。
ソースコードも、作り上げたものも、再利用するために存在しているわけではありません。
仮説を検証するためであり、作ることに対して意識を置くものではないのです。
事業デザインの思考、デザイン思考を教える教育機関が、スタンフォード大学にあります。
d.schoolと呼ばれ、世界中の事業デザインを学ぶ人が集まります。
d.schoolには、プロトタイプを作るために部屋があり、様々な道具が置いてあります。
ただし、おしゃれなmacではなく、工具を中心としたアナログなツールです。
ドリルやノコギリ、板、その他諸々。
コードを書くことなく共同で作業し、すぐさまアイディアを検証できるようになっているのです。
話題のスタンフォード大学デザインスクール -d・school- に行ってみたぞ
http://blog.btrax.com/jp/2012/07/22/dschool/
d.shoolのような場所は、まさに私たちクオンカレッジβテストが目指すところでもあります。
ともかく、意識すべきは「どれだけ低価格で、短時間で、仮説を検証できるか」です。
どれだけ本物のプロダクトを作るか、ではありません。
この意識は、自分自身で技術を習得したあとも、持つ必要があります。
自分自身で作る際も、最初から完璧を目指す必要がありません。
簡易的な内容を、最小限、短時間で作り、とにかく高速で検証していきます。
さっと作り、最小限で試すという意識を持ち続ける必要があります。
自分自身で事業を作る際も、最小で試す意識は、常に持っておきましょう。
決して最初から大きな労力とコストをかけてはいけません。
小さなコストと短時間で、いかに可能性や仮説を確かめるかを意識しましょう。
小さな失敗と成功の繰り返しが、よりプロダクトの失敗を防ぐことに繋がります。