起業家を育てるインフラ。アクセラレーション・マトリックス構想とは?
こうして活動していると、よく尋ねられることがあります。
クオンカレッジβテストというプロジェクトがどこに進むのか、ということです。
確かに、行先が見えなければ、どこに行くか不安、という方もいらっしゃるかもしれません。
それこそ私も、他者の在り方や、ビジョンに強く惹かれます。
起業家の育成および輩出と、クリエイター育成、そしてこれから作ろうとしている未来。
その先に、何があるのかを、今回、お話させて頂ければと思います。
今、世界は「1つの場所にお金や力が集まる」一極集中型の社会となっています。
首都や、シリコンバレーのように、ある一点に人もノウハウも全て集まります。
頑張ったり、努力した分、報酬を得るのは、当然です。
努力への報酬を否定しているわけではありません。
問題なのは、努力することに最適な環境が、皆に与えられるわけでは無い、ということです。
例えば、シリコンバレーで生まれた人と、地方の田舎で生まれた人では、大きな差があります。
私自身、岩手県の田舎出身ですが、シリコンバレーで生まれた人々との根本的な差を、多々感じます。
もちろん、生まれる場所が、才能や可能性に蓋をしてしまうわけではありません。
しかし、囲まれた文化によって、その人の在り方が大きく変わってしまうのは、事実です。
在り方の差は、後に経済的、社会的な立ち位置として、多くの差を作り出してしまいます。
確かに、インターネットが生まれ、世界中に一定の情報が行き届くようになりました。
しかし、その文化や、マインド、在り方、環境に関しては、決して、皆が手に入れられるわけではありません。
不平等であることが、今の社会の基本軸となっているのは、間違いないでしょう。
特に、起業はそうです。
まわりに起業した人がいるかどうか。
新しい挑戦を試し易い環境があったかどうか。
与えられたスキルや、考え方、生き方。
それら全てが、大きく環境によって左右されます。
だからこそ、私たちはクオンカレッジβテストというプロジェクトをスタートしました。
起業は、社会を構成する、最も重要な要素の1つです。
もし、誰も起業せず、会社も立ち上げず、挑戦しなかったら社会は成り立ちません。
世の中は、一歩踏み出してリーダーシップを取る人々によって、土台が作られています。
しかし、起業教育や育成が浸透しているかと言えば、そうではありません。
社会を作り上げている主軸であるにも関わらず、なぜか、訓練や環境が、ほとんど用意されていないのです。
それこそ、誰かに教えてもらうのではなく、自分で学ぶしか、方法が無いかのように。
とはいえ、全く存在しないわけではありません。
起業家育成も最大級に理論や環境が突き詰められている場所は存在します。
世界で今、最も起業家育成や起業にまつわる環境が整っているのは、どこでしょうか?
選べと言われたらシリコンバレーをまずあげるでしょう。
シリコンバレーには、投資家と起業家の間でお金を回す、エコシステムと呼ばれる環境が存在しています。
地域全体に、新しい挑戦を受け入れる文化があり、実績がなかろうが、役立つと感じればすぐ試してくれます。
起業家や、事業デザインを支えるクリエイターやエンジニアを育てる環境も整っています。
さらに、新しい手法や知識も、どんどん生まれ続けているのです。
もし、我々のすぐ側にシリコンバレーが存在していたら、もっと起業に対する知識も認識も行き届いていたでしょう。
大切なのは、環境や文化、起業家を育成する仕組みが、アクセスしやすい場所にあることです。
知識はもちろん、訓練環境や文化が人を育て、起業家や起業にまつわる人材を育成します。
もし、シリコンバレーのような地域が、それぞれの街に存在していたら。
起業家を育成する文化を持つ街やエリアが、世界中に存在していたら。
もっと社会は面白く、ワクワクするような可能性を追える環境になっていたことでしょう。
クオンカレッジβテストが実現したいのは、誰もがアクセスできるシリコンバレーを、世界中に作ることです。
今は育成プロジェクトとして展開していますが、徐々に「村」として作りあげていきます。
その村では、誰もが起業に挑戦し、新しい試みを受け入れ、試し、資金を集め、起業しやすい環境を整っています。
住んでいる人も、文化も、在り方も、これからの社会を面白くする試みに、前向きな文化を持っています。
決して、新しい挑戦を排除したがるような閉鎖的な村ではありません。
新しい事業を次々に創出し、世界に向けて仕掛け続ける起点となる村です。
また、クオンカレッジβテストは、大学のような場所となります。
起業の方法や訓練を提供するだけではありません。
起業を徹底的に研究し、まとめ、新しい手法や知識を提供していきます。
より訓練を促進させるツールも開発、活用を進めます。
クオンカレッジβテストを起点とし、村を最大限起業しやすい環境に整える。
小さなシリコンバレーに似た環境を作り出し、土地があればどこでも立ち上げられるようにする。
村としての成功例や成功体験を作り出し、起業家が最速で誕生していく環境を確立する。
起業家を育成、輩出していける環境ごとパッケージ化し、各都道府県、そして世界中に展開する。
こうすることで、世界中のどこでも、同じ環境化で起業家育成を受けやすくなることでしょう。
さらに、村同士はそれぞれ繋がっており、1つのネットワークとしても機能します。
知識や経験はクオンカレッジβテストに集まり、集合知として各村に提供されます。
村独自の通貨を発行し、世界中どこでも、村の中であれば同じ通貨で決済可能とします。
日本円やドルにおける送金手数料も、もちろんありません。
世界中、どこにいたとしても、同じ通貨、同じ物価、同じ国にいるように生活できるのです。
銀行に似た仕組みも作り、資金を集め、村で誕生した企業に投資します。
通常、資金調達を行うために、数多くの投資家と会う必要があります。
村においては起業に理解のある村の銀行に行けば、ある程度の金額まで投資可能です。
そして、生まれた事業が、村で新しく提供できるサービスや商品を増やします。
世界中の村で同じサービス、同じ商品を手に入れられるので、すぐ世界中に流通させることも可能でしょう。
これは、各地域、各国を繋ぐ、共通の事業開発のプラットフォームのようなものです。
また、立ち上げた事業は、周辺地域へ大きな経済効果をもたらします。
過疎化していく地方経済を盛り上げ、周辺地域のあらゆる問題を村の起業家が事業で解決していくでしょう。
事業を作ることは、基本的に問題を解決し、社会を便利にしていくことです。
目の前にある問題を解決せずに、放置されることは、まず、ありません。
地方に存在する問題は、どんどん解決されていくことでしょう。
私たちは、この起業・電子村政システムを「アクセラレーション・マトリックス」と呼び、研究しています。
資金調達から、起業家育成、地域社会の発展、地域における問題解決。
事業立ち上げにおける全ての構造を、小規模に運用し、世界中に共通環境を作り出す。
一極集中型の起業家育成ではなく、全ての社会において共通の起業家育成環境が提案される仕組み。
それらを急速に世界中で進めることができるのがアクセラレーション・マトリックスです。
アクセラレーションは、起業を促進させる時によく使われる言葉。
マトリックスとは、母体・基盤・何かを生み出すものを表します。
起業を促進させる新たな社会インフラの構築を目指し、今回のプロジェクトはスタートしました。
クオンカレッジβテストは、アクセラレーション・マトリックスの主軸となる研究および訓練機関となります。
クオンカレッジβテストは、単純な起業家育成プロジェクトではありません。
大きな起業家育成インフラを作り出す、第一歩目を意味します。
今、クオンカレッジβテストに挑戦して頂いたみなさんは、今後のプロジェクトにおける勇気ある1代目です。
だからこそ、後に生まれるインフラを、存分に使って頂けるよう考えています。
例えば、作られた村のサービスを格安で利用できたり、クオンカレッジβテストの知識や知見を自在に共有できたり。
人としても繋がって、一緒に仕掛けられるようになれたらと思います。
最初に参加していて頂いたイノベーターであるからこそ、得られる数々の特権を活用してください。
そして、自由自在に世界中で事業を立ち上げ、社会の理想も、自分の理想も、叶えて行ってください。
クオンカレッジβテストに参加して頂いた感謝の気持ちを、形として提供してければと思います。
これまで、私たちは、たくさんの起業、そしてデザイン、開発に関わってきました。
だからこそ、伝えられること、訓練として提供できることも多々あります。
何度も挑戦しては、知識や知見を蓄積して来ました。
今までの経験、知識、スキルの全てを、みなさまにお伝えしていけたらと思います。
ぜひ、クオンカレッジβテストで思う存分訓練と実践を重ね、未来に向けて、踏み出してみてください。
事業を自在に作り出すスキルセットを習得し、自分が理想とする未来を掴み取ってみてください。
私たちもまた、このプロジェクトに全てをかけて、挑戦していきます。