事業化を成功させるまで。辿った道のり。
先日、ある方に、起業ってどういうものかを尋ねられました。
その時、頭に浮かんだのは、何度も叩き続けてようやく開くドアでした。
ちょっとだけ、想像してみてください。
例えば、家の一番奥にたどり着きたいとします。
一番奥にたどり着くためには、3つのドアを開ける必要があります。
ところが、ドアはそれぞれ、独特な開け方があるのです。
頭を使って、試行錯誤して、開け方を見つけなければなりません。
ただし、事前に頑張れば、たくさんのヒントを集めることが出来ます。
事前に作戦を立てて、ヒントはいくつも集めてきたとします。
ところが、ヒントをもとに、何度もノックしても、ドアは開きません。
試行錯誤して、戦略という戦略を練って、必死に開けようとします。
でも、中々、開かないのです。
自分の頭の中では、この作戦だったら、絶対に開くはずだ、という確信はあります。
想定では開くはずなのに、なかなか開いてくれないのです。
しかし、永遠と開かないわけではありません。
戦略上、作戦上では、絶対にそのドアは開くと確信はあるのですから。
試行錯誤して、まだ開かない、でも開くはずだとノックし続けます。
すると、ある時突然、開くのです。
家の中に入ると、またその先にドアあります。
試行錯誤し戦略という戦略を立てて、開く確信はあるのに開かない。
しかし、それでも開くはずだと信じて挑戦する人だけが勝つ世界なのです。
他の方はどうか分かりませんが、僕はそのように感じました。
まったく、見当違いにドアを開こうとしているわけではありません。
考えてみると、開く確信があるドアにだけ、挑戦しているのです。
むしろ、開かないと感じたドアに挑戦することは、まずありません。
確信があるからこそ、辛い時も挑戦し続けることが出来るのです。
例えば、何か商品を作り、販売したとします。
自分の中では、知識を総動員して、売れるはずだという確信があります。
しかし、なかなか売れません。
何がおかしいだろうと、何度も改善を繰り返します。
すると、ちょっとした違いがきっかけで、一気に売れだすことがあります。
こうした一気に売れだすタイミングが、まさにドアが開く瞬間です。
売れるという確信が無ければ、なかなか売れない期間を乗り切ることは出来ません。
ゴールは見えているのに、たどり着き方に試行錯誤が必要なのです。
もちろん、行き方が全く見えていないわけではありません。
地図はある程度描けているけれど、現地に着いたら想定と違うことが多々あります。
まさに、宝の地図を手にして、現地に探しに行くようなイメージです。
道の途中で土砂崩れが起きていたり、あるべき橋がなかったり。
その度に、遠回りして正しい道を探していきます。
もしゴールさえ見えていなければ、途中で諦めて帰ってしまうことでしょう。
例えゴールは見えなくても、何が手に入るかは分かっているのです。
だからこそ、信じて進み続けることが出来ます。
ところが、多くの起業を志望する方は、ゴールを決めません。
何がその先で手に入るか、見えていないのです。
だから、途中で諦めてしまったり、脱落してしまいます。
その証拠として、ゴールが具体的に近づいてくると、人はやる気になります。
何がその先で手に入るか、実現性がましてくると、急にモチベーションがあがります。
みなさんも、一度は経験したことがあるのでは無いでしょうか。
僕は、自分で何かを始める時は、ゴールを確実に決めます。
そのほうが、自分自信のモチベーションも上がるからです。
ゴールに向かって、試行錯誤しながら進んでいきます。
しかし、なぜかたどり着きません。
作戦も、戦略も、ゴールがあるという確信もある。
それでも、何か少しの違いがあって、たどり着くことが出来ない。
途中、諦めそうになったりもします。
なぜ在るはずなのに到達できないのかと苛立ったりもします。
それでも改善を繰り返して突き進んでいると、一気に先に進めるのです。
一気に進んだ先で、また迷い、改善を繰り返します。
ただ、方向性は間違っていないという確信があるので、当てずっぽうではありません。
自分の中で仮説を立てて、何度も何度も道を変え、少し調整しながら試します。
すると、一気にまた扉が開いて、先に進んでいきます。
こうした試行錯誤の繰り返しで、ゴールにまでたどり着くのです。
自分でも挑戦して見ると、同じ感覚を共有できるのではないでしょうか。
起業という旅の良いところは、一度行き方が分かると、2度目がスムーズになることです。
1度目より、2度目の方が、正しい道を見つけ出すことが、早くなるのです。
ドアに例えれば、最初は苦労して開けたドアが、次からスムーズに開けられるようになります。
時代が変わっても、状況が変わっても、本質的な進み方が身に付けば、早く進めるようになります。
僕達が起業を訓練と呼ぶのは、体得するという性質に近いものがあるからです。
デザイン思考がまさに良い例です。
何度も起業のサイクルを繰り返すことで考え方を身に着けていきます。
実践の中で訓練することで、早めに先へ進めるようになるのです。
だからこそ、クオンカレッジβテストでは、基本的に全ての過程を訓練と呼んでいます。
エクササイズやトレーニング、という言い方で各過程を表現しています。
知識で覚えるのではなく、身体に身につけることが重要なのです。
現時点での、日本に現存する学校のほとんどが、知識の習得でしかありません。
本当の意味で「体得」出来る教育機関は、まだまだ少ないと言えます。
だからこそ、クオンカレッジβテストでは、誰かが実際に出来るようになることに注力するのです。
知っていても出来ないことの代表格が、事業を作り出すことです。
デザインやプログラミングの技術も同様です。
知識として理解してはいても、やってみると出来ないことそのものです。
何度も何度も実践し、訓練の中で身に付けていかなければなりません。
こうした実学の習得に必要なのは、一般的な先生ではありません。
先生というよりも、スポーツのコーチとなる人物が必要なのです。
学校の先生は知識を提供しますが、コーチは訓練を提供してくれます。
寄り添いながらアドバイスやトレーニングを一緒にしてくれます。
起業や技術習得に必要なのは、学校の先生ではなく、コーチなのです。
クオンカレッジβテストでは、基本的にメンターとしてトレーニングを提供しています。
何度も何度も挑戦することで、ようやく開くドア。
宝があることはわかっているのに、道の詳細が手探りな無人島。
そんなイメージの中で、いかに自分を信じられるかこそ、起業の勝敗を分けます。
実は誰かとの戦いというより、自分との戦いに勝つことが重要だったりします。
みなさんは、今後、技術の習得や起業に踏み込む方も多いことでしょう。
道中で、必ず何度か、打ち破れるはずなのに、進めない壁に遭遇するものです。
その時には、今回の話を思い出して頂けると、何をすべきかが分かるのでは無いでしょうか。
自分が信じるべきゴールを、まだ信じていられるか。
確実に価値あるゴールが存在すると、確信を得ていられるか。
存在するはずなのに、なぜか、突破できない。
そんな時は、自分を信じてみてください。
途中で離脱することを一旦諦めて、挑戦してみてください。
細かい仮説検証、そして改善の先に、やがて道が開けるはずです。
諦めるのは「ゴールが存在しない」と確信を得てからで充分間に合います。